火曜日, 9月 26, 2006

韓国から見る日本、突くところを突いている。コメント無しで本文を

日本は運がいい


 東京でこの10年余りの間に一番変わった街は秋葉原だ。不況で店を畳んだ電器店にマンガ・オタクのための店が入り、街が「マンガの国」のようになった。先日も、あの渋谷を押しのけ、若者が一番好きな街に選ばれた。「アキバ」というニックネームもついた。

 今月9日、そのアキバで行われた自民党総裁選の遊説は異例だった。やってもやらなくても結果は見え透いている選挙遊説に若い人の波が押し寄せた。余談だが、最近日本で群集の年齢層を判断する方法は、「拍手か、カメラ付き携帯電話」なのだそうだ。若者は拍手代わりにカメラ付き携帯電話のシャッターを切るからだ。8月15日に小泉首相が靖国神社を参拝した際も、若い人々が持つ数百台のカメラ付き携帯電話が話題となった。

 アキバの主人公は安倍官房長官ではなく「脇役」の麻生外相だった。安倍氏よりも13歳上の65歳。こんな麻生氏に「カメラ付き携帯電話の洗礼」が浴びせられた。麻生氏は今も1週間にマンガを10冊以上読むマンガ好きとして有名だ。年齢不問・理念不問・政策不問。アキバの若者はただ趣味が同じ候補に歓喜していたのだ。

 こんな麻生氏をのけ者にしている「国民的スター」安倍氏の看板は家柄だ。元首相の孫、外相の息子という血筋は韓国でもよく知られている。だからわたしたちは安倍氏が受け継いだ「遺伝子情報」を熱心に解読しようとする。しかし考えてみれば、安倍氏に劣らず血筋がいいのは麻生氏だ。父方の実家は財閥。母方は戦後日本の基礎を築いた吉田茂元首相を祖父に持ち、戦前の日本を築いた「維新の英雄」大久保利通が祖父の祖父だ。

 ところが麻生氏は安倍氏と違い人気がいまひとつだ。麻生氏の「遺伝子」に関心を向ける人は少ない。せいぜいマンガ好きだということが取り上げられるくらいだ。もう一人の候補者・谷垣財務相も東京大学法学部を卒業、司法試験にパスしたエリートだ。学閥や経歴では安倍氏を上回る。首相の靖国神社参拝に反対し、消費税引き上げを主張する政策公約も、他の二人よりずっと明確だ。問題はやはり、こうしたことに日本人が注目しないことだ。

 二人とも弱点は「顔」だ。麻生氏は少しワイルドな印象。谷垣氏は限りなく印象が薄い顔立ちなので、家柄や学閥が目立たない。日本国民は「親しみやすさがない印象の政治家」として麻生氏を、「首相の器という印象がない政治家」として谷垣氏を挙げる。安倍氏は逆だ。世論調査を見ると、「印象がいい」「他の候補がお粗末で」安倍氏の人気があるという回答が69%を占める。安倍氏の「遺伝子情報」が濃く反映された政策を挙げる人はわずか5%だ。安倍氏の顔だけ眺める日本を見ると、その遺伝子を警戒している韓国人がバカらしく見える。日本全国がアキバ化しているのだ。

 イメージ選挙は昨日や今日の事ではない。5年前の選挙で小泉首相が逆転劇を繰り広げたのは、安倍氏と正反対のケンカっ早そうなキャラクターのおかげだ。しかし、5年間で日本人の生活を変えたのは、イメージではなく政策だった。日本人が注目しなかった小泉政策は時代の流れに正確に乗り、瀕死(ひんし)の経済を生き返らせた。安倍氏の経済路線も小泉首相の枠を引き継ぐ。こうした点で日本は韓国よりも運がいい。両国は同じような選択をしても、結果はこんなに違うのだから。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報

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